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ギャラリー・マゴット主催「フォトショップ初級講座」

(09.2.10、講師 : カマウチヒデキ+川本亜矢)

カマウチが喋った部分の要旨

(事前に用意していたメモより編集。実際に喋った内容とは正確には一致しません)

[デジタルのせいで写真の質が落ちた?]

○写真の歴史っていうのは大体180年くらいあって、いろんな感剤が初期には使われたようですが、その歴史の大半は化合銀を使ったもの、いわゆる「銀塩」写真である。

○この銀を使う写真の時代がおそろしく長かったので写真の感剤の発達っていうのは、基本的に右肩上がり。環境問題的な側面から使う銀の量が規制されたり、という小さな逆行はあるが、粒状性をみても、感度的な話であっても、基本的には写真の感剤(印画紙やフィルムのこと)は、180年間ずっと右肩上がりに磨かれてきた。

○ところがここ数年いきなり銀を使った写真からデジタルの写真に、ほとんど一気に変わってしまった。

○デジタルカメラは、銀塩カメラの真似から始まった。銀を使うべき写真を、感剤なしで撮影するにはどうしたらよいか、というところからデジタルカメラは発想されている。 問題なのは、170年か180年積み上げてきた、銀塩写真というものの完成度を100とすると、一気にデジカメに変わったことによって、その頭のラインが急に50くらいに落ちてしまった、ということ。

○模倣が本物に追いつくのは、ちょっと時間がかかる、今はそのタイムラグのただ中にいる。

○例えば今のプロ用デジタル一眼のレベルは、ある側面から言えば、とっくに銀塩の6×9あたりの画質を超えているが、一般的に世に出回っている写真プリントの質、ということを考えたら、明らかに銀塩時代から一歩も二歩も後退している。 昔みんなが使っていたコンパクトカメラの画質に、今の一般的なコンデジは追いつけていない。

○じゃあ本当にデジタルのプリントは銀塩のプリントに比べて劣るのか?

[デジタルの利点/銀塩の利点]

○デジタルプリントの利点とは何か? これは何と言っても、今までプロラボやプリントショップに口頭で伝えていた、「もっと濃度を上げて」だとか「鮮やかに」だとか、そういう曖昧な要求を、心ゆくまで自分で調整できて、カラー写真でもプリントの仕上がりに責任が持てる、ということに尽きる。

○モノクロの時代はみんな自分でプリントして、その品質にちゃんと自分で責任をとっていたのに、カラーは自家処理がちょっと難しいために、外注に頼らざるを得なかった。

○ネガプリントっは表現の自由度が大きいから、当然プリントするラボマンの技量に左右される。下手くそが焼くと下手くそなプリント。上手な店に任せれば素晴らしい出来に。だけど、どういう風に焼いてくれ、という指示が、とても難しい。

○ラチチュードの狭い、不自由なポジフィルムが使われたのは、少なくとも仕上がりに他の人の手が入らない、責任的に自己完結できるということだろう。

○モノクロのみならず、カラーでも、ネガフィルムってのは、ものすごくラチチュードの広い、ある意味理想的な感剤。今のデジカメ的な言い方をすれば、ダイナミックレンジが広い、ということ。

○以前に比べてデジカメのダイナミックレンジは広くなった。 ダイナミックレンジとは一番黒い部分から一番白い部分まで、表現できる階調の幅のこと。ネガフィルムはこの階調の幅がすごく広い。 一枚のネガから、わざとアンダーなプリントを作ってもシャドウ部が潰れることがないし、逆にハイキーなプリントを作っても、かなりな部分までハイライト側に階調が残る。

○この階調の幅のことをラチチュードと言う。ネガフィルムはラチチュードが広い。 ポジフィルムは狭い。すぐに白飛びするし、黒潰れする。

○デジカメも同じ。ラチチュードが狭い。とくにコンデジは狭い。ダイナミックレンジというのはCCD一個一個の大きさに関係するので、コンデジみたいなCCDの小ささでダイナミックレンジを広げるのは土台無理。

○最近はキヤノン、ニコン、ソニーから、35ミリフィルムと同じ大きさの受光素子を持つデジカメが発売されているのでラチチュードもかなり広くなっているが、でもネガにはとうてい及ばない。

[ラチチュード]

○銀塩がデジタルよりいい理由、ってのを、ちゃんと知らずに銀塩をやってる人が多すぎるな、というのが正直な感想。銀塩の優れたところは、わけのわからんノスタルジーの部分にあるのではない。ラチチュードの広さ、これに尽きる。これがデジカメにはない部分。

○経験上、1段アンダーから3段オーバーまで、適性露出に4段の幅がある。4段、つまり2の4乗、光の量に16倍の差があっても大丈夫ということ。 ネガの良さってのは、めちゃくちゃダイナミックレンジの広い「アナログCCD」である、ってこと。

○ネガにはもの凄く幅広い階調の幅があるので、1枚のネガから、すごくハイキーな写真も作れるし、アンダーなプリントも焼ける。 デジカメでもフォトショップで明るさの調節やコントラストの調節が出来るが、ネガほどダイナミックレンジが広くないので無理が出てくる。階調が崩れてしまう。画質が著しく劣化する。

[綺麗なプリントとは?]

○わかりやすく、モノクロの話に単純化して考えれば、モノクロプリントというのは、何も露光しなければ真っ白(紙の地色)完全に感光させてしまえば真っ黒。 この真っ白と真っ黒の間に、すべてのトーンを配置すること、真っ白から真っ黒まで、すべてのトーンを印画紙上に再現出来ているプリントが美しいプリントとされる。 もちろん例外はあるし、わざとそれを崩すこともある。 しかし基本は、「一番くらい部分から一番明るい部分までを、印画紙の再現能力の幅に一致させること」。

○これはカラーネガのプリントでも、デジタルでも通用する基本。

[顔料インクジェット]

○現在カラー画像に関して言えば、顔料インクジェットで出力するのが一番だと思う。耐候性に関してダントツのアドバンテージがある。

○銀塩カラーは保存が悪ければ数年で色抜けする。エプソンの顔料プリンターはメーカー公称200年耐久。実際に光や水分に対して強いのは実験済。

○銀塩、インクジェット問わず、色の劣化を一番促進するのはオゾン。オゾンを遮断するために樹脂系スプレーの吹き付けを推奨。 商品名で言えば「コンドール・ジェット」「プリント・ガード」等。一般用のトリパブCやフィクサチーフも、やらないよりマシ。ワセリンやカルナバ・ワックス、スプレー式油性ニス等も、実験上、問題なし。

[ヒストグラム]

○デジタル写真で、まず覚えてもらわなきゃいけない最低限のことは、解像度の話と、ヒストグラムの話。 この二つは絶対に理解しなきゃ駄目。デジタル写真の基本中の基本。

○デジタル写真は、黒から白への階調を、256段階で記録する。一番黒いところが0、一番白いところが255。計256階調(8bitの場合)。 これはデジタルの基本中の基本。

[トーンカーブでのコントラスト調整(実演)]

[色調補正・コントラスト調整・濃度調整の実演]

[調整レイヤーの説明] [8bitと16bit] → (できなかった)

[画像解像度の話]

5616*3744 EOS-1DSmk3 (2100万画素)360dpiで半切近く

4992*3328 EOS-1DSmk2 (1660万画素)300dpiで半切近く

3648*2736 GRD2 (1000万画素)360dpiで六切(A4)300dpiで四切

[RAW現像の話]

[適性露出とは?]

○アナログとデジタルで一番変わるのは、適性露出の考え方。ネガだと、画面の内で一番表現したい部分、ポートレートだったら顔の部分、風景だと、その画像の核になる部分、そこを適性露出にしておけば良かった。わかりやすくポートレートだと、背景に空が写っていたとして、顔にスポット測光で露出を合わせれば背景は白く飛んで写る。でも銀塩なのでデジタルほどは激しく白飛びしない。ハイライト側の階調はデジタルと比べものにならないくらい豊か。

○デジタルカメラで撮影するときは、まずは「収める」という考え方になる。 黒をつぶさず、ハイライトを飛ばさず、ヒストグラムを0から255の中に収めておいて、後からトーンカーブで中心の位置を調整する。

[以後、川本さんのレイヤーを使ったレタッチ実演講座]

・・・・・・

[おまけ]

以前、PUU氏のウェブサイトのBBSで連載(?)していた「カマウチのフォトショップ裏技講座」を、PUUさんが自分のサイト上に編集した頁があります。

http://puu.rash.jp/GALLERY/newpage4.htm

よろしければここも参考にしてください。

[まとめ、みたいなもの]

フォトショップはデジタル写真の調整ソフトですが、デジタルのみならず、銀塩を含めた「写真」の理屈を考える上で非常に有益なもの。

ヒストグラムやトーンカーブ自体は銀塩の時代からフィルムの特性曲線等で使われてきた考え方と似ているし、デジタルで数値化してみてはじめて気がつく銀塩の理屈、というのもあると思う。

フィルムと印画紙がある限り銀塩で、と考えている人でも、フォトショップを学ぶことは決して無益ではない。却って銀塩を深く考える契機にもなると思う。

以上

57 notes

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    デジカメ創生期のカメラマンの台詞「こんなもん使えるかよ」。そして今、広告写真は全てデジタルへ。移行の最大の要因。クライアントが望んだから。何故?1)劣化が少ない2)DB化できる。こんなに単純なことなのに。そして今時代はデジタルからCGへ。自動...
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